美容室の雇用関係 今と昔

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

コロナ禍でも人時生産性2倍! 美容室の生産性を高め、美容師の働き方向上の仕組みを発信!

4店舗の美容室経営者:川崎元晴ブログ

感情で向き合うと、感情で離れていく

美容室では、経営者・経営幹部が、スタッフと関わりを持つことに対して、非常に重要視をしてきました。

それは、技術を中心とした職業スキルを、先輩やオーナーが教え、
職人として育て、一人前にしていくことで事業が成り立っていた業界だからではないでしょうか。

その為、お客様同様、社員同士が非常に距離感の近い関係性になりやすく、
日々、密な関係性の中で仕事をしていくので、人間関係が非常に大切になってきます。

現場の社員は、職場での人間関係によって、モチベーションや健全性が左右されます。
それに伴い、仕事の効率性や成果も変わってきます。
職場では、社員の健全性は非常に大切です。

現場での社員のモチベーションを上げる為に、多くの管理職の方が、
毎日、葛藤と苦悩をしているのではないでしょうか。

管理職の方が、現場社員と丁寧に向き合い、成長の為の学習機会を提供し、
スキルを高める為に、関わりを持つことは重要だと思いますが、
その為に、必要以上に時間と労力を注ぎ、上手くコミュニケーションが取れずに、
こちらの感情が揺さぶられてしまうと、逆効果になることもあります。

そして、それが続いていくと、いずれは社員の方から、
『ここにいてもわかってくれない』
『わたしとは合わない』
などと、意思疎通が取れなくなり、離職へと繋がっていきます。

時には、管理職の方の心が疲れ果ててしまい、仕事に支障が出ることさえもあると思います。

本音を吐き出させ、本心に気づかせる

基本的に、現場の社員は変化を嫌います。
変化をすることを避け、安定を好みます。
そして、新しい施策などに対して抵抗をします。

それをどう理解し実行してもらうかは、いかに目的を伝え、共感してもらえるか次第です。

しかし、それが現場で理解されないことに対して、上司が一生懸命になるがゆえに、
向き合えば向き合うほど、かけた労力と時間に比例するように、こちらの感情も高まっていきます。
そうなると、相手(社員)も自分を守ろうとするあまり、感情と感情がぶつかり合うことになります。

その先は、先ほどもお話ししたように、互いに離れていく結末ではないでしょうか。

一定の距離感を持ち、互いの視点(視座ともいう)の違いを意識した中で、
現場の社員と向き合い、
社員の様々な本音(愚痴や不満、防衛本能など)を丁寧に聴きながら、
その奥に潜む本心(本当にやりたいこと、芯の目的)を引き出すことが出来れば、
社員の方に、自ら気づきを与え、前向きに仕事と向き合ってもらう事は出来ます。
※本音と本心は意味が違います(別の機会にお話しをします)

しかし、相手(社員)の本音(不健全さ)に巻き込まれて、
こちらの感情が溢れてしてしまうと、危険なゾーン(ぶつかり合い)の領域に突入してしまいます。
上司も常に冷静に向き合うことが出来ればいいのですが、
時には感情がこみ上げ冷静さを見失う事は、頻繁にあるのではないでしょうか。

大切なことは、上手く相手の本心を引き出し、気づいてもらうことなのですが、

それ以前に見直さなければいけないことは、私たちが “社員に依存していないか?”
という事です。

社員に依存しない経営

どういうことかというと、『馬に人参ぶら下げる経営』になっていないかという事です。

人参をぶら下げて、頑張ったらご褒美上げるから、さぁ頑張れ!
では人は動きません。
会社がまず先に、相手の要望を叶えるのです。

だから、相手もこちらの望むように走り出してくれるのです。

人参ぶら下げているのに、一向に走ろうとしない馬を、
なんとか走らせようとあの手この手で、
四苦八苦するような上司になってはいけないと思うのです。
それでは、疲れ果ててしまうのがオチですよね。

つまり、自分が理想とする状態に近い環境が手に入っているから、
社員は頑張ろうと思い、上司の話を聴こうとし、健全な状態で仕事に向き合うことが出来ます。
しかし、頑張ったら理想の状態になれる、
だからその為に、上司の話を聴いて、言うこときいて、頑張って努力をしてくれ!
的な感じで、社員に要求をしてしまう事ばかりになると、
現場の社員は、仕事や取り組みが、目的ではなく、手段として捉え、
会社がイメージする結果からは、長い目で見ると遠ざかっていきます。

会社は社員のニーズを満たしていく

会社(経営者)が実践しなければいけないことは、
雇用する時に社員に約束をした雇用環境を実現し続けることです。
頑張ったらではなく、常時提供できているかです。

では、現場社員は会社や職場に何を望んでいるのでしょうか?

『わたしを変えて欲しい』、『わたしと関わってほしい』、とは望んでいません。

私達はまず、
自分の会社の『理想の社員像』(どんな人材を雇用したいか?)を明確にして、
その方々が求めている職場環境になっているかを、答え合わせにしていかなければいけません。社員が求める需要を会社が満たしていれば、安心して働いてくれる状態になると思います。

そして、その環境が他社では手に入らなければ、辞めるわけが無いのです。

そのような職場環境を同じように求めている方を、
今後も社員として増やしていけば、組織は自然と拡大をしていきます。

自社が提供できる環境と、違うものを求めている方を雇用してしますと、
その方が求めているものがここには無いとわかった瞬間に辞めていきます。

そして、社員が求めているものと、会社の提供価値が一致しているのに、
辞めていってしまう理由は、感情でぶつかり合いすぎてしまうからだと思うのです。

徒弟制度のような雇用関係では成り立たない

美容業界のような職場では特に多い気がします。

それは、なんとか社員を育ててあげようという意識が強くあるからです。
社員は、育てて欲しいなんて思っていません。
わかってほしいとは思っていますが、育てて欲しいなんて思いません。
昔の徒弟制度の色濃くあった時代は、そうでしたが、今は違います。

求めている職場環境を、他社よりも、より良く提供できるように企業努力をして、
その環境を提供していく為に、社員が守らなければいけないルールや条件を明確に提示して、
その関係性やバランスが上手く機能しているかどうかを、管理していく事が大事だと思うのです。
そして、こちらが提供できているのに、相手が自己理由で守らない状態であれば、
その時には、辞めてもらえばいいのです。

需要と供給が一致しているから、長く関係性が続いていくということは、
顧客でも、雇用関係でも、同じではないでしょうか。

人を管理するのではなく、仕組みを管理する

大切なことは、人を管理するのではなく、仕組みやシステムを管理することです。
事業の成功は、経営戦略次第です。
そして、人財は会社の資源であり、どう活かすかは経営者の腕次第です。
社員の自己努力による成長やスキルが経営を左右するのであれば、
それは健全な企業の状態とは言えません。

私達は、往々にして育てようと思い込み過ぎると、人を管理してしまいます。
親子関係なども、愛情が溢れすぎると、子供を何とか言うとおりにさせようとしてしまうように。
家族や親のように、社員と向き合おうとすると、良い時は良いのですが、
必ず双方に甘えた感情が芽生えてしまいます。
そして、上手く伝わらないもどかしさが、想いとなって溢れれば溢れるほど、
ぶつかり合い、時には傷つけ合うことにもつながります。

これは、上司にも甘えが出てしまうのです。
これだけ愛情持って、手塩にかけて、関わっているのだから、
お前もちっとはこっちのことを理解して、協力してくれよ!的な感じですね。

よくあります。

しかし、いい意味でも、社員はドライであり、自律しているのです。
だから、雇用関係の中で、互いに甘えが生まれやすい関係性になることは非常に危険です。

経営者と幹部は価値観を合わせていく

また考え方として、少数精鋭の強いチームをつくるのであれば、少し違うかもしれません。
たとえば、
幹部同士や、社長と幹部の関係など、組織のトップチームの間柄です。
かなり近い関係性で、同じ方向性を見据えて、深い絆を必要とします。

これは、視座の高さが同じだからこそ、
価値観が共有され、共感共鳴し、そういった関係性をつくることが出来るのです。

経営者、経営幹部と現場社員は、そもそも視座が違います。

同じ会社、同じ職場であっても、考え方や目指している方向、
大切にしているものが全く異なっています。

幹部同士や幹部と社長は、同じでなければいけません。

視座が同じ仲間同士は、逆に関わりや感情のぶつかり合いがあったほうが、絆は深まります。
そして、更に強固な関係性が創られ、同じ方向に向かって走り出すことが出来ます。

 

このようなことが原理原則として理解できてくると、無駄な所に力を入れることなく、
人材雇用と人財育成が充実してくるのかもしれません。

雇用関係は親子関係ではなく、パートナーシップ(対等)でつくる

人は感情で向き合うと感情で離れていきます。
典型的なのは親子関係ですね。
親子であれば、子供たちもいずれ自分が親になれば、親の気持ちが理解できます。
しかし、その関係性を、会社の雇用関係に持ち込み過ぎると、
社員は子供ではありませんので、いずれ離れてき、帰ってくることはありません。
そして何より、社員はそのような関係性を求めて就職をしているのではないという事です。

※昔は、職場に家族のような関係性を求めて就職をする時代もありました。
経営者はこぞって『大家族主義』を謳っていました。

 

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
人時生産性を2倍にした高単価メニューの仕組み